「またアルゴリズムが変わったらしい。」
SNS担当者からこの言葉を聞くたびに、少し残念な気持ちになります。
変わったと聞いては投稿のやり方を変える。
また変わったと聞いては、またやり方を変える。
その繰り返しに疲れている会社は少なくありません。
でも不思議なことに、同じ環境にいながら、アルゴリズムの変化をほとんど気にしていない会社もあります。
それでいて、成果はずっと安定しています。
この差はどこから生まれるのか。
今回はその正体を掘り下げます。
振り回される会社は「対策」を追いかけている
アルゴリズムに振り回される会社には、はっきりした特徴があります。
新しい情報が出るたびに、投稿の形式を変えてしまうことです。
「今はリールが伸びるらしい」と聞けばリールに切り替える。
「いや、今度は写真の複数枚投稿だ」と聞けばそちらに移る。
一つひとつの判断は、間違っていないように見えます。
最新の情報に従っているのですから。
でも問題は、その都度アカウントの形が変わってしまうことです。
先月までノウハウ系の投稿だったのに、今月は突然ライフスタイル系になる。
見ているフォロワーからすれば、何を期待してフォローし続ければいいのかわからなくなります。
一貫性を失うと、フォロワーが離れていく
人が誰かをフォローし続けるのは、そのアカウントに期待があるからです。
「ここを見れば、この分野の役立つ話がある」。
そう思えるからフォローを外さないのです。
ところが投稿の方向性がころころ変わると、その期待が裏切られます。
求めていた情報が来なくなり、代わりに興味のない投稿が増える。
すると静かにフォローを外していきます。
アルゴリズムの変化そのものより、この一貫性の喪失のほうが、よほど深く成果を損ないます。
対策を追いかけた結果、最も大切なフォロワーとの関係を壊している。
これが振り回される会社の落とし穴です。
振り回されない会社は「軸」を持っている
一方、変化に左右されない会社が持っているもの。
それは発信の軸です。
誰に向けて、何を伝えるために運用しているのか。
この答えがはっきりしている会社は、アルゴリズムが変わっても慌てません。
たとえば「子育て中の親に、時短料理のコツを届ける」という軸があるとします。
リールが有利になればリールで時短料理を見せる。
写真投稿が有利になれば写真で見せる。
形は変えても、伝える中身は一切ぶれません。
だから見ている人は、いつ来ても期待どおりの情報に出会えます。
軸がある会社にとって、アルゴリズムの変化は「見せ方の微調整」にすぎないのです。
アルゴリズムが本当に評価しているもの
ここで一度、アルゴリズムの目的そのものを考えてみてください。
InstagramもTikTokも、ユーザーに長く楽しく使ってもらいたいと考えています。
だから「ユーザーが価値を感じた投稿」を優先して表示します。
では、価値を感じたかどうかを何で判断しているのか。
保存されたか。シェアされたか。
コメントがついたか。
プロフィールまで見に来てもらえたか。
こうした反応は、見た人が「これはいい」と思ったときにしか起きません。
つまり仕様の細かい変化を追いかけるより、見た人が思わず保存したくなる投稿を作るほうが、結局は近道なのです。
人が良いものに反応するという前提は、アルゴリズムが何度変わっても揺らぎません。
ただし、変化を完全に無視していいわけではない
ここで一つ、誤解してほしくないことがあります。
軸を持つこと。
それは、アルゴリズムの変化を一切見なくていい、という意味ではありません。
たとえば動画が優先される流れがはっきりしてきたなら、その流れに乗ること自体は正しい判断です。
同じ中身を、より届きやすい形で見せられるからです。
大切なのは、変化に「合わせる」のか、変化に「振り回される」のか。
その違いを意識することです。
軸を持つ会社は、変化を見たうえで「自分たちの目的に合うなら取り入れる」と判断します。
軸のない会社は、変化を見て「とりあえず全部やらなきゃ」と反応します。
同じ情報を受け取っても、軸があるかないかで、行動はまったく別物になるのです。
軸がある会社は、改善のスピードも速い
意外に思われるかもしれませんが、軸を持つ会社ほど、改善のサイクルが速くなります。
理由はシンプルです。
判断の基準が一つに定まっているからです。
たとえば投稿の反応が落ちたとき。
軸のない会社は「形式が悪いのか、時間帯か、それともテーマか」と、原因の候補が無数に広がります。
一方、軸のある会社は「届けたい相手に、ちゃんと刺さる中身だったか」という一点から検証できます。
見るべき場所が決まっているので、改善が早い。
そして改善が早いほど、良い投稿のパターンが早く見つかります。
軸は、ぶれないためだけのものではありません。
前に進むスピードを上げるための土台でもあるのです。
まず、自社の軸を一文にしてみる
ではどうすれば、振り回されない側に立てるのか。
最初の一歩は、自社の発信の軸を一文で言葉にしてみることです。
「誰に」「何を」届けるアカウントなのか。
これを紙に書けるか試してください。
すぐに書けるなら、軸はすでにあります。
あとはアルゴリズムの変化を、その軸に沿って取り入れるか判断するだけです。
もし書けないなら、それが今いちばん向き合うべき課題です。
投稿の形式を考える前に、まず軸を定める。
軸を定めるときは、自社の強みと、届けたい相手の悩みが重なる場所を探してみてください。
その重なりこそが、長く発信し続けられるテーマになります。
軸さえ固まれば、次に何かが「変わったらしい」と聞いても、もう慌てる必要はありません。
あなたの会社の発信は、それくらいでは揺らがないものになっているはずです。

